後書
「From ideologization to reideologization」
久保田正幸



 今年もあと残すところ1ヶ月となり、 この一年をふりかえってみる時期となった。 政財界は素より、 社会面でも常識では考えられないような、 首をかしげたくなるようなことばかりである。 政界では、 橋本首相退陣、 小渕新内閣発足、 年末にかけては自・自連立と迷走しきりで、 どこにゴールしようとしているのかまるで見えない。 経済界は、 相も変らず暗いニュースばかりである。 戦後未曾有の高い失業率、 株価の低迷、 高い企業倒産等々、 一体世界第二位の経済大国、Pack Japanicaとよばれたのは今昔の感があるばかりである。 又大物政治家のスキャンダル、アメリカのクリントン大統領、 我が国の菅民主党党首の女性問題等々、 私達の耳目を換起する問題が相次いだ。 社会面、 特に保険金詐欺事件の女性の進出も目覚ましいものがあり、 和歌山の保険金詐欺事件はその象徴ともいえる事件であろう。 本当に女性も強くなったものである。
 ロシアやアジアの経済危機の中、 アメリカだけはこの世の春を謳歌している。 確かにクリントン大統領の主たる二大政策はSecurityとEconomyであるが、 それにしても国際収支で巨大な赤字を出し続けているアメリカ経済が何故こんなに強いのであろうか。 それは未だに日本にはなじみの薄いHedge Fundsによるのではないだろうか。 そしてアメリカの頭脳も今このHedge Fundsの集中していると思われる。 つまり株が上っても、 下っても、 ドルが上っても、 下っても儲かるようにプログラミングされた金融工学を駆使して彼等はMoneyを根こそぎ儲けてゆく。 いわば一本釣のカツオ船をしり目にトロール漁法で魚を根こそぎもっていくようなものだ。 つまり彼等にとって扱う商品のPriceが動けば儲かるようになっているらしい。 それでも損をすることはある。 最近報道されたLTCMの破綻はそのあらわれであるともいえる。 Capitalismはほんの一握りのWinnerに対して、 大勢のLoserがでることを容認する。 そして日本の銀行及び機関投資家は殆んどLoserであるとすれば、 日本の金融機関の抱える闇は深い。
 20世紀という世紀はIdeologyの世界だともいえる。 SocialismやCommunismとCapitalismは長い戦いの後、 Capitalismに凱歌があがったのではあるが、 市場経済全盛になった今、 Hedge FundsはMoneyを求め全世界を動きまわり、 ときに一国の国家予算などをはるかに上廻ってしまう。いわば彼等の扱うMoneyは核弾頭より強力で、 一国の政策などたちまちにのみこまれてしまう。 Hedge Fundsの前にはIdeology等必要なく、 ある時は共闘し、 またある時は離反し、 ただただMoneyを求める枠組があるだけであり、 その後には累累たるLoserの山である。 企業業績が悪化している企業は進んでRisk Takerにもなるし、 たとえHedge Fundsに投資していなくても、 貴方の預金している銀行が巨額のデリバティブで損失をこうむっていれば、 金利は低水準のままということになる。
 私達はこの20世紀を生きぬくためにより良いIdeologyをつくりあげてきた。 しかし今同時にIdeologyは無力化し、 Moneyにとってかわられつつある。 国境線など存在しないボーダレスの世界でMoneyだけが集団離散しているのは皮肉なことであるともいえる。 " From ideologizationto reideologization " 私達は今新たに21世紀ににはMoneyの世界へ向うのであろうか。


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