「巻頭言」
「ともえ御前」怒ってぼやいて2000年
産業医担当理事 吉村友江


 西暦2000年元旦、長崎の宝石箱のような町の灯は消えることなく、港に花火が幾っも打ち上げ られました。コンピューターの誤作動問題等大きなトラブルもなく、稲佐山の足元にレーザー光 線が美しく交錯するのを眺めて、やれやれ天の神様に感謝した私でありました。

 1999年は勤勉で誠実な高技術国日本が崩れ去ったことを国の内外にさらした年でありました。 新幹線のトンネルのコンクリートが次々に落下、ずさんな恐れを知らぬ手抜き作業が引き起こし た初めての臨海事故死、全て国産パーツ使用のH2ロケット打ち上げ失敗。

 ああ昨年はいつ明けるとも知れない不況の闇の中にあって、我が家が燃えたのは福岡ダイエー ホークスの嘘のような快進撃でありました。連夜の1点差逃げ切り勝ち、びっくり箱の様な逆転 ホームラン。日本シリーズは、シーズンの勢いそのまま、星野監督が怒り回る隙さえ与えぬシリー ズ男秋山選手の先制ホームラン。真骨頂は名古屋に場所を移しての永井投手の悪い立上りを救っ たMVP秋山選手のライトフェンス上での超ファインプレー。生あるうちにこんな優勝を体験出 来ることはもうなかろうと家族手に手をとり抱き合った昨秋でありました。

 今年はどんな年になるのでしょうか。今までの仕事の上に、介護保険認定審査の大変な作業が 加わることになりました。学校医や予防接種当番、健康診断出張の当番、産業医当番、夜間当番。
そしてこれから始まるカルテ開示。付随するであろう医療訴訟や、病気の告知からくる自殺・離 婚の責任問題に備える防衛力が私に果たしてあるでしょうか。山名会長を始め多くの先生方は私 なんかより沢山の仕事をこなされていて尚過労死なさらないから驚威であります。大滝先生なん か年々元気度を増していかれるようです。私はもうこの激流について行かれません、もう辞めま す、もう私の事は放っておいて下さい。妹尾佳先生ご免なさい、パソコンをするより草を抜く方 が楽しい私は一人取り残されていくんです。

 厚生省なんか大嫌い、もうプッツンです。私の事を守ってくれない日本医師会なんか脱退。何 がなんでも書類は月初め10日までなんて、暇なお上が言うことにもう振り回されたくはありませ ん。スクールカウンセラーという名前だけを先行させて学校の心の問題に手を打ったような顔を している文部省の阿呆さ加減はこりゃすごい。無駄金を注ぎ込んで造ったり壊したりの縦割り行 政は、緊急事態のこの国を救うことはないでしょう。

 妹尾一信先生を財務長官に推すべきか、久保田先生のように米国出国を計画すべきか、それな ら寺谷先生のように英会話を始めなければならないか。それとも畑を耕して桑元先生のように自 給自足に備えるか。もし英会話をマスターする前に、血の気の多い姫井先生が国会議事堂に手投 弾をぶち込んで我が夫が火を放っようなことになればどうしよう。三宅八郎先生のように徹夜で 車を運転して逃げるだけの体力もありませんぞ。山崎先生や斎藤院長先生のようなあんな大きい 声で意見を発表出来ないぞ。

「ともえ先生、この頃ちょっと疲れとんじゃがあ。休みをとってピカソでも見に行かれえ。」そ んな大島先生の声が聞こえてくるような・・・。
 皆々様の幸多き世紀末であらん事をお祈り申し上げます。


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